ロストバゲージしたらまずやること|元グランドスタッフが教える完全ガイド
「まさか自分の荷物が来ないなんて」——ターンテーブルが空になったとき、頭が真っ白になりますよね。
でも、焦らなくて大丈夫です。**ほとんどの荷物は、ちゃんと戻ってきます。**前の記事でお伝えしたとおりです。
グランドスタッフとして働いていた私も、何百件ものロストバゲージを対応してきました。そのほぼ全員に荷物が戻っています。ただ、一つだけ言えることがあって、空港でのファーストアクションで、その後の流れが大きく変わります。
何も知らないまま外に出てしまうと、荷物の追跡に時間がかかってしまうことも。この記事では、空港でまずやるべきことを5つのステップで解説します。
空港を出る前が勝負——絶対にやること
空港を出る前に必ず乗ってきた飛行機の航空会社スタッフを見つけて、ロストバゲージの申し出をしてください。
国際線では全ての荷物について税関申告が必要です。
あなたが到着した国がどこであったとしても、必要なステップはほとんど変わりません。
今手元に荷物がなかったとしても、これから見つかるであろう荷物とあなたが今持っている手荷物を同時に一度でまとめて申告する必要があるのです。
一度空港をでてしまうとその税関申告ができなくなることや、実は手荷物が既に見つかっているのに本人とコンタクトがとれずに、荷物の配送が遅れてしまうこともあります。
荷物が出てこなくて一刻も早く誰かに助けてほしいのにスタッフがどこにもいないとなるととても不安な気持ちになりますよね。まずは落ち着いて、近くにいる航空会社スタッフを探してみてください。
【STEP1】バゲージエリアでスタッフを探す
バゲージクレームエリア(Baggage Claim Area)には航空会社スタッフがいます。
手荷物引き取り場所 = Baggage Claim Area
手荷物案内所 = Baggage Claim Office
手荷物預かり票 = Baggage Claim Tag
海外空港で手荷物について話をする際は、このBaggage Claimとゆう単語が頻繁にでてくるので覚えておくと便利です。
最初の手続きは税関構内で行う必要があるので、ファーストアクションは必ず税関構内で行ってください。国によっては税関検査後にオフィスがある場合もありますが、初期手続き後の詳しい対応や、破損の対応をそのオフィスで行っています。
スタッフがいない!どうやって見つける?
入国審査で時間がかかって他の旅客がほとんどいなくなって鞄の返却も終わっているとスタッフも撤収してしまっていることがあります。
そんな時はBaggage Claim Area内で、自分の乗ってきた航空会社でなくてもいいのでスタッフの誰かに荷物が見つからない旨を伝えて担当航空会社スタッフを呼んでもらってください。
鞄が届いていないのではなく、引き取り手が見つからず保管されている場合もあります。
自分の担当でなければ別のスタッフを呼んでくれます。とにかく誰か捕まえるのが一番早い!
【STEP2】PIRを記入して未着手続きを行う
PIR(Property Irregularity Report)=手荷物事故報告書
預けた荷物が届かず未着になったり、破損したときの証明書として航空会社が発行する書類です。世界共通で使用する書類で、手書きが主流ですが後述する未着ファイルを作成後プリントアウトした紙が手交されることもあります。
スタッフが見つかったら提示するもの
スタッフが見つかったら下記のアイテムの提示を求められるので用意しておきましょう。
- パスポート
- 手荷物預かり票(Baggage Claim Tag)
- eチケット控え(スマホ画面表示でもOK)
- 現地滞在先の住所(ホテルの予約画面等)
- 現地での連絡先(電話やメールアドレス)
PIRの記入の解説
通常スタッフが詳細を伺いながら記入しますが、さっと説明されて自分で書く場合もあるようです。
| 項目 | 意味 | 記入例 |
| NM | 氏名 | KOUKUU/MARI |
| IT | イニシャル | MK |
| TN | タグ番号 | AA123456 |
| TC | 鞄の特徴 | BK22RHW |
| RT | 旅程(空港名) | NRT/LAX/MIA |
| FD | 旅程(便名) | AA001/01APR/AA002/02APR |
| BI | 鞄のブランド | SAMSONITE |
| CN | 鞄の内容品 | CLOTHES/SHOES(NIKE)/SHIRTS(RF) |
自分で書くとしても、NM,IT,住所,連絡先くらい。
実際にはスタッフがほぼ全て書いてくれるけど、どんな情報が必要か分かれば現地での会話が不安でもスムーズに手続きできそうですね。
ここで確認した内容をもとに鞄を捜索するので、ここでの情報はとにかく正確に、細かく伝えるのが早期解決への秘訣です!
大事なポイントを項目ごとに解説していきます。
TN|タグナンバー
先ほど説明したBaggage Claim Tagの番号ですが、これがなければ探せないほど大切な情報です。タグがなくてもシステムで確認ができますが、極まれに手書きのタグがあったり、何かヒントになる情報が隠れていることもあるので、必ずスタッフにタグを提出してください。
TC|鞄の特徴
IATAのカラーチャート(Baggage Identification Chart)をつかって、未着になった荷物の特徴を確認します。世界共通のチャートなので、タグが取れてしまったとしてもこれをもとに捜索をします。手続きを行う際に必ずスタッフに見せられるのでご安心ください。
鞄の色、形、タイヤの有無等の特徴をアルファベットと数字で構成しています。
鞄の色は驚くほど国によって感じ方が変わります。
黄色?ゴールド?ベージュ?
赤?茶色?
はっきりとした色でなければ細かいニュアンスを伝えられるとベストです!
鞄の写真があれば提示するのもおすすめです!
FD|実際に搭乗したフライト便名と搭乗日
航空会社側で予約記録を確認すれば簡単にわかることではありますが、遅延などの理由で予定していた便から変更になる場合もありますね。それに伴い搭乗日が変わったり、日付をまたぐ場合はまたややこしくなったりと、とても大事な情報です。
予約から便が変わった場合はその旨も必ずスタッフに伝えてください。
また、別の航空会社を利用して3区間以上のフライトを乗り継いでいる場合は鞄だけ途中で置いてけぼりになっていることも多々あります。
人の予約は変わったのに、鞄だけ元に便の記録になったままになっていることも稀にあります。
【STEP3】空港を出る前に確認する3つのポイント
PIRの記入が終わったらスタッフから今後の流れについて説明があります。
その時に次の3つのことを確認してください。
- PIRの旅客控えを受け取る
- 照会番号と今後の連絡先、手段を確認する
- 日用品購入代金の補償を受けられるか確認する
PIRの旅客控えを受け取る
先ほど記入したPIRはあなたの鞄が未着になった証明になります。
海外旅行保険に加入していれば補償を受けることができるかもしれません。その請求時に必要になるので必ず受け取ってください。
照会番号と今後の連絡について確認
スタッフが未着のファイルを作成するので必ずReference Number(リファレンスナンバー)=照会番号をもらってください。この番号があなたの鞄が今どうなっているのか確認する鍵になります。
もしすぐにファイルが作成されなかった場合は、リファレンスナンバーの代わりにタグナンバー(手荷物タグ番号)を照会番号として渡されることもありますが、それでもファイルの照会ができるので問題ありません。
そして、今後どのように連絡をとるのかを確認してください。電話よりもメールでの連絡がいいのか、どちらも難しいようであればホテルのスタッフに取り次いでもらうことを頼むなど確認しましょう。
残念ながら、海外の場合はこちらがアクションをとらないと見つかるまで連絡がないことも十分あり得ます。こちらから連絡がとれるように相手の連絡先も必ず確保してください。
日用品購入代金の補償について確認
航空会社によって基準は大きく異なりますが、多くの場合、旅行先(一時滞在地)では補償が受けられ、帰国先(家に帰宅できる)では補償が受けられないことが多いです。
【日用品購入代金|Expenses for daily necessities】
手荷物の未着により身の回りの品がない方々に対して、日用必需品購入のための一時費用として支払われる。
すぐに荷物が返却される見込みがなく、一時滞在の方を対象支払われることがある。
ただし、補償の上限は航空会社によって異なります。旅行保険への加入やクレジットカード付帯の旅行保険があればカバーできる範囲が広がります。
【STEP4】ホテルに着いたらすること
ホテルのチェックイン時に鞄が未着になったことを伝える
見つかった鞄はホテルへ届きます。その時スムーズにあなたの手元に届けてもらうため必ずフロントスタッフに鞄が未着になり今後ホテルに届く可能性があること伝えてください。
また英語も日本語も通じない国では、私たちも不安ですが、スタッフ側もきちんと情報が伝わっているか不安です。そんな時はホテルのスタッフが仲介してくれる場合もあるので、状況を伝えておくと今後何かと安心です。
翻訳機能も使用しますが、やっぱり母国語同士でコミュニケーションがとれると対応がスムーズで確実になります。
World Tracerで荷物の状況を確認
World Tracerとは世界中の航空会社が利用しているweb手荷物捜索システムです。
航空会社のスタッフが使用することを想定したサイトなので、多くの航空会社はworld Tracerと連動したお客様用の荷物追跡サイトを案内しています。
日用品購入の領収書をまとめておく
【STEP3】で日用品購入費用をもらえなかった場合は保険請求できる可能性があるので、念のためロストバゲージのために購入したもののレシートは保管しておいてください。
日用品として認められるのは、洗面用品、下着、必要な衣類などです。高価すぎる衣類などは日用品購入費用として認められないので気を付けましょう。
連絡がない場合は自分から状況確認を!
ロストバゲージになってから24時間近くたっても航空会社から連絡がない場合は催促するのも効果的です。当日中は状況が変わっていない可能性も高いので連絡するなら翌日がおすすめです。
今はAIでどんな言語も翻訳できるので、Chat GPTやClaude,deepLを使ってみるのもおすすめです。
【STEP5】帰国後の費用請求について
旅行先に滞在中に荷物が届いたら、帰国後に加入している保険会社へ補償の請求をしましょう。
case1|保険会社の旅行保険への請求
出国前に海外旅行保険に加入している場合は、加入している損害保険会社へ問い合わせをしてください。自分の加入している保険がロストバゲージ(鞄の到着遅延)をカバーしているかどうか分からない場合も一度問い合わせてみてもいいかと思います。
保険請求時に必要になるのは以下のアイテムです。
- 保険証券
- PIR
- 日用品購入の領収書orレシート
上記以外に保険会社の指定の保険金請求書の記入が必要になる場合もあります。
もしもの時の為海外旅行保険にはぜひ入っておいてください。旅行先での紛失物、カメラの故障などをカバーしてくれる保険もあります。
case2|クレジットカード付帯の旅行保険への請求
クレジットカードに海外旅行保険が付帯されている場合、まずはクレジットカード会社の保険窓口へ連絡してみましょう。その後、カード会社によってそのまま案内が進む場合と、カード会社が提携している保険会社への連絡を案内される場合があります。
必要なアイテムは保険会社への請求と基本的には変わりませんが、詳しくは各カード会社へ確認するのが確実です。
クレジットカードの種類によってカバーされている保険の内容や、保険が自動付帯か旅行代金をそのクレジットカードで支払っている必要があるか異なります。カードの補償条件はよくチェックしておきたいです!
まとめ|5STEPのチェックリスト
ロストバゲージはとても焦る経験ですが、正しい順番で動けば、ほとんどのケースで荷物は手元に戻ってきます。
今回紹介した5つのステップをおさらいしておきましょう。
| STEP1 | バゲージエリアでスタッフを探す |
| STEP2 | PIRを記入して未着手続きをする |
| STEP3 | PIR控え・照会番号・補償の確認 |
| STEP4 | ホテルで荷物追跡&領収書を保管 |
| STEP5 | 帰国後に保険会社へ費用請求 |
一番大切なのは、空港を出る前に動くこと。それだけで、その後の流れが全然変わります。
そして、いざというときに補償をしっかり受けるためには、旅行前の準備も大切です。海外旅行保険への加入や、付帯保険が充実したクレジットカードを持っておくことで、万が一のときでも金銭的な安心感が大きく違います。旅行前にできる備えについては、次の記事で詳しく解説しています。
👉 【次記事リンク:ロストバゲージに備える旅行保険・クレジットカードの選び方】







