ロストバゲージはなぜ起こる?元グランドスタッフが教える6つの原因
空港のターンテーブルの前で、自分のスーツケースだけ待っても待っても出てこない。旅行先でそんな状況になったら、誰だって焦りますよね。
でも実は、ロストバゲージには「なぜ起きるか」にいくつかのパターンがあります。仕組みを知っておくだけで、いざというとき慌てずに動けます。
この記事では、ロストバゲージが起きる6つの原因を現場目線で解説します。「なんで荷物が来ないの?」の答えが、きっとここにあります。
ロストバゲージって何?
なんらかの理由で預けた荷物が旅客と同じ飛行機には乗らず、荷物が届かないことをロストバゲージといいます。
ロストバゲージにもパターンがいくつかあり、一番多いのが鞄が後から遅れて届くパターンです。大抵は次の飛行機で届き、24時間以内には輸送されてきます。3日以上遅れることはそう多くはありませんし、完全になくなってしまうことはほとんどありません。(この後詳しく説明しますね)
なぜロストバゲージは起こるのか
まず前提として鞄はチェックインの際に貼付されたバゲージタグに従ってタグに記載された目的地へと向います。その過程で起こる様々な要因によって時にロストバゲージとなってしまうことがあります。
ではなぜロストバゲージは起こるのか一つづつ解説していきます。
鞄の乗り継ぎ時間不足(Short connex)
ロストバゲージで一番多いのがこのパターンです。
特に国際線では乗り継ぎが発生することもありますね。乗り継ぎ時間が短く空港内をダッシュした経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時は鞄も次の飛行機に間に合うように猛ダッシュで運ばれていきますが、残念ながら鞄だけ間に合わないことも多くあります。
飛行機に荷物を搭載するときのルールとして、システム上で管理された預かり荷物よりも多くの荷物を搭載することは絶対にありませんが(テロ防止、防犯の観点から)、荷物の数が足りなくても出発時刻がきてしまえばそのまま出発することが可能です。乗り継ぎ時にロストバゲージになってしまったら、「なぜ自分の荷物を待たずに出発したんだ!!」と思ってしまいますが、飛行機が遅れることを最小限に抑えるために残念ながら起こりうる要因なのです。
ですが、この場合は鞄が積まれていないことを乗り継ぎ地が把握できているので、次の便で後送されてくることがほとんどです。
バゲージタグの破損(Tag off)
鞄を預かる際には、一つの荷物に対して一つのバゲージタグが貼付されます。そのタグがなんらかの原因でちぎれてタグについたバーコードが読み取れなくなったり、タグ自体が外れて荷物が行き先不明になってしまうことがあります。
タグが破損、外れてしまう原因は大きく二つあります。
一つ目は、きちんと貼られていなかったり、はがれやすい素材へそのまま貼ってしまう等のタグの貼り付け不備。
二つ目は、鞄がベルトコンベアで流れて搭載場所に運ばれるまでの間に、タグが何かに引っかかってしまい破損、紛失してしまう場合です。
どちらの場合も預けられた時間に合致しそうな便に該当者がいないか、出発前の搭乗ゲート搭乗するお客様へ目視確認を行ってもらい解決する場合もあります。
最近ではセルフバゲージドロップも増えてきたので、ご自身でタグを貼る場合は剥がれたり外れたりしないか十分に注意することもロストバゲージを防ぐ対策になります。
ミスタグ(Mistaked tag)
確率は低いですが、そもそものタグの行き先が誤っていることも起こりえます。
乗り継ぎの際に同じ航空会社でなくても会社同士が通し預かり(Through tag)の提携をしている場合、荷物を通しで預けることができます。航空会社ごとに別々に予約を取っていた場合、最初の出発地でチェックインの際に乗り継ぎの便名と行き先を登録します。スタッフがその登録を誤ったときに起きるのがミスタグ(タグのミス)です。同じ航空会社で乗り継ぎの予約をしている場合は、1便目と2便目の予約情報を照会し合体させることが通常できるのでミスタグが起こることはまずありませんが、別々の航空会社だった場合は他社の予約情報をシステム上で照会することができないので手作業の入力を誤ったり、そもそもお客様から提示されていた情報に誤りがあった場合にもミスタグが起こってしまうのです。予約を変更したり、取り直した場合には最新の情報を保存して提出できるようにしておく等も大切な準備になります。
ミスタグはあってはいけないことですが、自分の身を守るためには荷物を預けたら必ず「手荷物預かり票」(Baggage Claim Tag)の行き先と自分の目的地に誤りがないか確認することも対策の一つとなります。
乗り継ぎ税関通過の際の置き去り(Custom Clear Mis)
日本からアメリカへアメリカ国内を乗り継いで出発されたことがある方はご経験があるかと思いますが、アメリカではその先に乗り継ぎがあっても、国外から最初にアメリカに入ってきた場所で税関検査を受ける必要があります。その為、鞄のタグ自体が乗り継ぎ先の最終地まで預けになっていても乗り継ぎ地で一度荷物をピックアップし税関検査を受けたあとで再度荷物の預けなおしが必要になります。
例)NRT(成田)/LAX(ロサンゼルス)/MIA(マイアミ)
鞄はMIAまで預けになっていても、LAXで一度荷物をピックアップし税関検査を受け、専用の乗り継ぎ荷物エリアで荷物を再度預ける(通し預けの場合は通常荷物を係員に渡すだけ)
この場合はタグに正しい行き先と持ち主の記載があるので、旅客側が置いて行ってしまっても呼び出されて検査を受けて事なきをえる場合もあります。また荷物が置き去りにされたとしてもすぐに後送されてくることがほとんどです。
※ちなみに日本もアメリカと同じく、入国時最初の寄港地で税関検査を受けたうえで荷物の預けなおしが必要です。
、
悪天候や急な機材変更
日本出発時に起こることはまずありませんが、外国では急な機材変更による時間のひっ迫、悪天候によって作業ができない等の理由で便を出発させることを優先して荷物が後送になることがあります。
私がグランドスタッフとして勤めていたとき、某航空会社(砂漠の中にある国)が大規模な砂嵐のために乗客300名のうち、260名の荷物が届かないとゆう連絡がありひっくり返ったことがあります。しかし、この時も翌日には全ての荷物が届き無事にお客様へ荷物を送り届けることができました。
お客様同士の荷物の引き取り間違い(Cross pick up)
これも非常に残念ですが、度々起こります。
荷物は確かに届いているはずなのに、自分の荷物がなく、似たような荷物が残っていた場合、ほかのお客様が誤って荷物をもっていってしまった可能性があります。この場合は道中にご自身で気が付いたり連絡がつけばよいのですが、最悪、家について荷物を開けたときに気が付くなんてこともあります。
引き取り間違いについては別の記事で詳しくお話ししますが、間違いやすそうな鞄には分かりやすい目印(バゲージベルトやステッカー、ネームタグ)をつけて、自衛するのも大切になるかと思います。
まとめ
ロストバゲージの原因はさまざまですが、共通しているのは「ほとんどのケースで荷物は戻ってくる」ということです。完全に行方不明になってしまうケースは実はごくわずかで、多くは数日以内に手元に届きます。
とはいえ、いざ自分の荷物が出てこなかったときに焦らないためにも、空港での初動対応がとても大切です。次の記事では、荷物が出てこなかったときに空港でまず何をすればいいのかをステップごとに解説しています。ぜひあわせて読んでみてください。





